イギリス・トーキーでアガサ・クリスティーの吸った空気を吸いに行く旅
新宿本社 青山
大好きな作家アガサ・クリスティーの生まれ故郷を見たい!ということでやってきたイギリスのトーキー。 かつては風光明媚なリゾート地で『イギリスのリヴィエラ』と呼ばれた、南西部の海岸に面する静かな街です。ロンドンのパディントン駅から出る電車で約3時間。アガサのミステリー小説の中にも『パディントン発4時50分』というタイトルがあります。
駅の真ん前には、アガサがハネムーンで宿泊したグランドホテル。当時彼女が泊まった部屋は、クリスティ・スイートという名前になっているそうです。一見お城のような立派なホテルですが、ロンドン市内のホテルに比べるとだいぶリーズナブルなお値段です。
まずは市内中心部にある観光案内所を目指して歩きます。駅前から市内には『ピア』と呼ばれる海岸通りがずっと続いていて、見る限り、歩いている人はほぼお年寄りです。皆さんのんびりとそぞろ歩きをしています。通りに沿って続くベンチに座っておしゃべりしているのも、お年寄り。港にはたくさんヨットが停まっていて、リゾート地らしい雰囲気。

広場でアガサの胸像発見。手を合わせて拝んでしまいそう・・・観光案内所では『アガサ・クリスティ・マイル』をもらいました。この地図に沿って歩いていくと、彼女とゆかりのある市内のポイントが巡れるようになっています。ミステリーの女王ということで、地図のところどころにあるナイフや血痕のデザインがおもしろい。
なんてゴージャスな眺め。アガサの本が棚いっぱりに並べられています。どの装丁も気がきいていてハイセンス。デザインの勉強にもなりそうです。
ここでは、大好きな作品『動く指』、並んでいた中で一番おしゃれな表紙の『書斎の死体』、『ABC殺人事件』のペーパーバック、それから母へのおみやげに『鏡は横にひび割れて』の朗読CDを買いました。これを読んで英語の勉強をしようと思ったのですが、帰国した今は表紙を眺めるだけで満足してしまっています。

翌朝の朝食。グランドホテルのイングリッシュブレックファーストは本当においしかった!写真にはクロワッサンが写っていますが、あとからうすい上品なトーストが優雅な銀のトーストラックに挟まれて運ばれてきます。ベーコンやビーンズもおいしかったですが、特にマッシュルームのグリルが気に入って毎朝やまもり食べていました。

2日目は悪天候。残念ながらアガサの愛用品などの展示がしてあるトー・アビーは改築中でした。「トーキー博物館にも展示はあるよ。」というおじさんが言うので、その足で市のはずれのほうにある博物館に行ってきました。アガサ直筆の原稿や、ドラマの中のミス・マープルやポアロが着ていた衣装が展示してあります。アガサの生きていた時代の空気が残っている気がして、去りがたい場所でした。
午後は、藁葺屋根の村、コッキントン村へ。細い道をバスで登っていくと、海辺の街よりさらに静かでのどかな風景が広がっています。ここのティーハウスで食べたスコーンが、本当においしかったです。
トーキーが属するデヴォン州の名産に、デヴォンシャークリームという濃厚なクリームがあるのですが、バターと生クリームとヨーグルトを全部混ぜ合わせたような味。このクリームとイチゴのジャムをスコーンにこんもり盛っていただきます。アガサもこのクリームが大好きで、スコーンに添える程度ではなく「飲んでいた」とか...。

明日はロンドンに出発。夕方ホテルの前の浜辺で海を眺めていると、地元のおじいさんが声をかけてくれました。なぜトーキーに?という質問に、「アガサ・クリスティーが好きだから!」と答えてもいまいち反応がうすく、「日本でもアガサの小説はとても人気があって、わたしのようなファンがたくさんいます。」とつたない英語で説明しても、「あーそうですか」という感じ。そんなものですね。
人生の黄昏時を迎えた人たちが暮らす静かな海辺の街、トーキー、さようなら。年をとったらもう1度来てみたいと思います。

